ドライアイとは、涙の分泌量や安定性の低下を原因として目が乾燥し、眼精疲労や異物感など様々な症状を引き起こす病気です。涙は99%の水(液層)と1%の脂からなっていますが、その水分が蒸発しないために表面に一層薄く油の層がのっています。その油を分泌しているのがまぶたのなかにあるマイボーム腺です。
このマイボーム腺の出口(まつげの生え際)が細菌感染などによって詰まると、涙のなかの脂分のバランスがくずれて、目が乾きやすくなったり、涙目になったり、炎症が起きたりします。 これをマイボーム腺機能不全(MGD)といいます。最近の研究で、脂が足りないタイプのドライアイがドライアイ全体の85%以上であるということがわかりました。
脂が足りないタイプのドライアイでは、点眼治療では改善しにくい場合が多いのです。高齢の方や脂質異常症の内服をしている方、コンタクトレンズ装用をしている方もMGDになりやすいといわれています。
眼球断面図・涙構造図
涙の状態による涙の層及び眼の状態比較
ドライアイ患者さんは、目が乾くなど典型的なドライアイ症状だけでなく、下記のように様々な症状に悩まされています。
~ドライアイの新しい治療~
ドライアイは日常生活に支障をきたすことも多いうえに、点眼薬等による対症療法では十分に効果を感じられない方も多くいらっしゃいます。
当院では、ドライアイに対する新しい治療として、IPL治療を行っております。IPL治療とは、涙の油分を分泌するマイボーム腺を特殊なレーザーで刺激することでドライアイを改善する、新しいドライアイ治療です。
アメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けた標準的に行われている治療です。2017年にはドライアイの治療として国際的なガイドラインにも掲載されました。
当院に導入しているレーザーは、米国ルミナス社M22で、長い間美容皮膚科領域でフォトフェイシャル治療用として一般的に使われてきたものですから、ドライアイ治療ではありますが、美肌効果もあります。
当院にてドライアイ治療としてのIPL治療を受けられた方、また白内障手術などの眼内手術を受けられた方で、ご希望がありましたら、美肌効果もあるフォトフェイシャル治療を別途受けていただくこともできます。
M22
現在、IPL治療は保険診療の範囲ではなく、自費医療となっております。
1回
8,000円
4回セット
24,000円
IPL治療前にクリニックにて問診票や医師による問診などでチェックを行いますが、下記に当てはまる方は施術を受けていただけない可能性があります。
施術は3~4週間間隔で4回以上行うのが望ましいといわれておりますが、その間もドライアイの点眼は継続して使用していただいたほうが経過は良く、ドライアイは起こりにくくなります。また下記のセルフケアも同時に行ったほうがより好ましいと思われます。
ドライアイの点眼治療以外で、患者さんがご自宅で毎日行うことで治療効果が高まる方法をご紹介します。
詳細はクリニックでもご相談ください。
眼の周辺を温めることで、マイボーム腺のつまりを緩和し、脂分の分泌を促し、涙液油層の改善を図ります。通常32度程度で融解するので、温めすぎなくても大丈夫です。ホットタオルや市販のまぶたを温めるグッズなども効果があります。
ガッテン!流 ホットタオルの作り方
2020年7月22日にNHK「ためしてガッテン!」で放映された、ガッテン流ホットタオルの作り方は下記をご覧下さい。
※ホットタオル以外に温罨法のグッズ購入をご希望の場合はスタッフにお問い合わせください。
要するに洗浄して目元を清潔に保つということです。汚れたマイボーム腺の脂の排出を促進し、固まってしまった脂や角化物の詰まりの除去、およびマイボーム腺周囲の細菌量を減少させる目的で行います。
アイシャンプーを使用し、指のはらで睫毛の根元周囲をやさしくマッサージするように行うといいでしょう。温罨法と一緒に行うとさらに効果が高まります。
※アイシャンプーを当院で購入ご希望の場合は、お気軽にスタッフまでご相談ください。